はるのまじない
- erhoot2534
- 3月22日
- 読了時間: 4分
更新日:3月23日
三寒四温は、はたしてこのようなまでにエキサイティングな寒暖差を指していたのか。
羽毛布団どころか年末に仕舞い忘れた扇風機がぼちぼち出番になるんじゃないかと気が気じゃない昨今です。こんばんは。
楽器の話もしたいところなのですが
二胡:ひたすら左薬指の位置矯正(運指強化メニューをローテ)
三線:ひたすらコンクール課題曲(と時々舞踊地謡曲を息抜きに)
という感じなのでまったく面白みのない報告しかありません。
そういうわけでここから先は楽器の話はありません。すいません。
楽器関係は修業期間と思って粛々とニュートラルに、を心掛けているのですが
肝心の宗像、非常に春に弱いのであります。モチベーション維持がたいへん。
どんな感じの弱さかというと
・花粉にやられる(目のかゆみ、くしゃみ、鼻づまり、肌荒れ)
・自律神経失調(貧血と判別がつかない怠さ)
そして極めつけの
・メンタル絶不調(突然の激しい動悸、不安感、不眠(あ、これは前々からか…)過緊張)
春って生命力が充実して、生き生きとした生活が送れる。
そう思っていた私がおろかでした。
自分のような陰の者が、久方の光のどけき春の陽のもとでのびのび暮らせると思っていたことが間違いだったようです。ほらね、絶不調。
メンタル絶不調の理由はいわゆる「トラウマ」ってやつです。
今から2^n-6(n=4)年ほど前の冬から春にかけて心身ともに崩れたことがきっかけでした。
崩れただったらまだ「元気になってよかったね~」で済むんですけど、回復までに家族からの理解や助けを得られなかったことが大きな傷となってしまいました。詳細は割愛します。
現在、専門機関の力も借りつつ、トラウマを脱却できるよう内面から変えていく努力を続けていますが正直出口の見えないトンネルをずっと歩いている感覚です。
そんな調子だからか急に暖かくなると、古傷が開くのか動悸が止まらなくなったり半ばパニック状態に陥ったり、そもそも「あ、これ気分が一気に落ちるぞ」という感覚が来たりと「とてもつらい」状態になりがちです。
(この前レッスンの時に急にパニック症状みたいなのが出て困ったり。老師ごめんね)
とはいえ日常は人間商売をやっている手前、この状態に無策でいるわけにもいかず足りない頭をこねくり回した結果、ひとつの策をひねり出しました。
「あの時に一番嬉しかったことを、自分にする」
つらい時期に一番されて嬉しかったことを、おまじないのように何度でも繰り返す。
誰も気づかないけど、傷つかない最善の方法。はるのちいさなおなじない。
私には「桜のケーキとブラックコーヒー」がそれになりました。
私がとてもままならない、進路も定まらない状況であると伝えたそのあとすぐ。
恩師に小さな喫茶店に連れていかれました。
そこで頼んだものが自家製の桜のケーキとブラックコーヒー。
ケーキは上に桜の塩漬けが乗って、桜の色と味がするパウンドケーキで
コーヒーは店主のおばあちゃんが丁寧に淹れて、こだわりのカップに注いでくれた温かい一杯でした。
そこで恩師は私を責めもせず、かといって深入りすぎもせず、淡々とでも穏やかに
「今、まだ学びたいことがあるならそれを勉強して、深めていくこともありじゃない?」
「どうにかなるのよ、人生なんて。そう、どうにかなるもんなのよ」
とゆったりとした口調で話してくれました。
味方は、家の外におりました。
しだれ桜がソメイヨシノとほぼ同じ時期に咲く、不思議な春の日の夕方でした。
ちいさなおなじないが、うまれました。
ちなみにこの喫茶店はもうありません。
おばあちゃんが亡くなった後、継ぐ人もなく閉まってしまいました。
もう、あのケーキもコーヒーもなくなってしまいました。
でも、おまじないとして今も生きています。
思い出の影をなぞるような行為と笑う人もいるかもしれませんが、かまいません。
桜の味のするケーキのスポンジを口に入れて、温かいコーヒーをすすることで確かに落ち着く私がここにいるのです。
この春も私は亡霊のように桜のケーキを求めてさまよい、現世に留まろうと思います。
ちなみに今年すでにスターバックスとセブンイレブンの桜シフォンは食べました。
桜味のケーキ(NG:モンブラン、ムース系。あくまでスポンジ部分が桜味のもの)でおすすめがありましたら、ぜひ教えてください。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
次の記事はもう少し元気なものにしたいと思います。



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